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2018/1/22 月曜日

支払い

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:07:18

飲食店で勘定を支払う際、わけ知り顔で『オアイソ』と言う者がいます。
『愛想』に丁寧語の『お』をつけた『お愛想』のことですが、これは本来、客が言う語句ではありません。

「お勘定を」
と言う客に対し、店の者が
「お愛想ですね」
と返すのが本来の やり取りです。

元々『愛想』とは浮かんできた考えや想念に執着するという意味の仏教用語で、固執して とらわれてはいけないとされました。
つまり決して良い意味ではなかったのですが、いつも不機嫌そうな対応をする者を『まったく愛想のない人だ』などと言うように、現在では『愛想』が好ましいものとして分類されます。

この変遷には遊郭が大きく関わっていたようです。
祇園の遊女たちが仏教用語を気の利いたふうに使い始めたところ、いつのまにか それが一般にも流行り、広く使われるようになっていったと考えられています。
商売上、客の気を引く素振りは重要であるため、『愛想を振りまく』わけです。
客も すっかり御執心となり、足繁く通うといった寸法です。
その逆が『愛想尽かし』で、略して『お愛想』といいます。
帰っていく客を(たとえ内心では せいせいしたと思っていても?)残念そうな素振りで
「あら。 もう、お愛想(尽かし)ですか。 お名残惜しい」
と送り出したようです。

このような経緯から、酒場を始め、一般的な飲食店でも“勘定を払って帰っていく客”に『お愛想ですね』と言うようになっていきました。
客の側が『勘定をお願いします』のつもりで『オアイソ』と言ってしまっては誤りなのです。

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