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2016/2/22 月曜日

発祥を巡って

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:46:54

老舗の名産品や土産物などは、【本家○○】【元祖◇◇】を謳い文句にしていることが多いものです。
ときおり商標登録を巡る裁判沙汰もニュースになりますね。
『ルーツがどちらなのか』
これは、いつでもどこでも争点に上る事柄のようです。

酒飲みが
「We(我々)が好きだからウイスキー」
などと、つまらないことを言って場をシラケさせるそのウイスキーも、発祥を巡る裁判に発展したことがあるそうです。

スコットランド生まれの教会僧セント・パトリックが5世紀頃アイルランドに伝道した際、そこでウイスキーを造ったということになっています。
パトリックはスコットランド生まれなのだから、ウイスキーのルーツはスコットランド。
スコットランド人は当然のように主張します。
対して、どこの者が造ったにせよ最初に造られた場所がアイルランドである以上、ウイスキーのルーツはアイルランドにあると、アイルランド人は言います。

イングランド王ヘンリー2世がアイルランドに遠征したときの記録に、『アイルランド人はウスケボーという強い酒を飲む』というものがあり、この“ウスケボー”がウイスキーの語源となっていることからも、アイルランド人はウイスキーのルーツはアイルランドだとして譲りません。
そして結局のところ、裁判でも決着はつかなかったといいます。

そのような争いの名残が、スペルに表されています。
スコッチ・ウイスキーの綴りは【Whisky】
アイリッシュ・ウイスキーの綴りは【Whiskey】

製法の違いは、大雑把にいってしまえばピート(泥炭)で燻して薫香を付けるのがスコッチ・ウイスキー、麦芽にピート香を付けずに蒸留するのがアイリッシュ・ウイスキーです。

カナディアン・ウイスキーの綴りはスコッチ型で、バーボンに代表されるアメリカン・ウイスキーの綴りはアイリッシュ型になっています。
スコッチ系のものが好まれてきたせいか、国産ウイスキーも綴りはスコッチ型になっています。

2016/2/8 月曜日

性質・生態の違い

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:25:59

暑い夏の間にアリは懸命に働き続け、冬を越すための食料を貯蔵。
音楽を奏で、遊び呆けていた(ということにされている)キリギリスは冬の食料に事欠き、アリに縋ります。
ところが
「夏に歌っていたオマエさん。それなら冬には踊ってみたら?」
と、突き放されてしまいます。

よく知られた《アリとキリギリス》の話です。
勤勉こそが尊いという教訓として引き合いに出される、有名なイソップ寓話の1つですから、見聞きしたことのない者もいないでしょう。

この話、元々は《アリとセミ》でした。
しかしセミは熱帯ならびに亜熱帯を生息範囲とする昆虫であることから、地中海沿岸付近を除けばヨーロッパでは殆ど馴染みが薄いため、キリギリスに改編されたのだそうです。

イソップ寓話には思わず『なるほど』と頷きたくなる含蓄のある話もありますが、《アリとキリギリス》(あるいは《アリとセミ》)は生物学として正しいとはいえません。
越冬する昆虫のアリと、冬を越すことなく成虫になってからは繁殖の後に死んでしまうキリギリスやセミを、同列に語ることは無意味であると同時に不公平です。
キリギリスもセミも繁殖のために命を懸けて『鳴いて』います。
ヒトの耳にはうるさいほど、命をつないでいくために鳴き続ける種類の昆虫を、遊び呆け、怠けているといえるでしょうか。
勤勉であることは奨励されて然るべきです。
しかし異質の生をまっとうする生きものを比較対照に持ち出しては、妥当性を欠いてしまいます。

アリは越冬するために食料を蓄え、キリギリスやセミは鳴いて次世代へ命のバトンを渡します。
どちらも『等しく一生懸命』な姿です。

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