» 2012 » 5月

2012/5/28 月曜日

都市景観

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:52:27

楊貴妃を宮廷へ招き入れたことでも知られる唐の6代皇帝・玄宗は、長安と洛陽を結ぶ道に果樹を植える勅令を出しました。
夏は繁った葉が木陰を作り暑さを癒す。
秋は実った果実が空腹を癒す。
そんな目的があったとされます。

遣唐使として唐へ留学していた東大寺の僧・普照法師は、玄宗に倣って奈良の都にも果樹を植えようと考え、759年に太政官符が発せられたのです。
東海道、東山道、北陸道、山陽道、山陰道、南海道、西海道の7つの街道に、果樹が植えられる運びとなります。
これが日本での最初の道路植樹の記録とされ、街路樹のルーツといわれています。
都市景観の向上、さらには防風、防塵、防暑、防火、防煙などの実用目的で その後は広く普及していった街路樹も、元々の目的は やや異なっていたというわけです。

藤原京、平城京、平安京に至るまで、街路樹には柳、桜、橘、槐、銀杏などの木々が植えられましたが、それらは当時 世界最大規模といわれていた唐の長安を手本にしたといいます。

現代ではパリのマロニエやベルリンのリンデンバウム(セイヨウボダイジュ)も有名ですが、人々が“緑の葉を繁らす木々”に どこか『ホッ』とする心情は、街路樹の持つ実用面とも また違うようです。

2012/5/14 月曜日

北忌み

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:31:24

『北枕で寝てはいけない』
『洗濯物は北に干してはいけない』
古くから日常生活へ入り込んでいる慣習が《北忌み》です。
釈迦が亡くなったときの様子が、頭を北方にし、足を南方にしていたからだといわれています。
また、古代中国をはじめ、東アジアには北斗七星信仰があり、死者を葬る際は北枕にしていたそうです。

このような風習と仏教とが混ざり合い、北枕というと『縁起が悪い』『不吉である』等々、タブー視されるようになっていきました。
ところが地磁気の流れから考えると北枕は健康に良いとする説もあり、さらには頭寒足熱の理にもかなっているという点からも、ゲンを担ぐか、科学的なことを優先するかは、意見の分かれるところでしょうか。
洗濯物を北に干しては確かに乾きが悪く、そういった実用面での問題もさることながら、陰陽五行説を基盤とする北という方角の意味づけにも左右されています。

陰陽五行説によれば、北は“水気”や“陰”を意味し、水に関連するものを北へ向けると陰の性質が重なり、災いにつながるという解釈です。
風呂場やトイレを北に作るのも家相から見ると良くないとされます。
今でこそ暖房完備の風呂場やトイレもありますが、そのような文明の利器がなかった時代、北向きの寒々とした風呂場やトイレでは健康に良いとはいえません。
生活上の知恵が先か、陰陽五行説が先かは、ニワトリと卵のようなものです。
東アジアや日本の土着的な信仰や、その後に入ってきた仏教、そして陰陽五行説などが渾然一体となり、《北忌み》は現代にも根強く残っているわけです。

次のページ »