» 2010 » 6月

2010/6/28 月曜日

ローエングリン その2

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:41:31

ワグナーがこの“ローエングリン”という歌劇を作った背景には、彼の出生への疑念が大きく影響しているという説があります。

ライプツィヒ警察の書記官だった彼の父親は、彼が生まれた半年後に亡くなったそうです。
母親は有名な俳優で画家でもあったガイヤーと再婚しますが、母親とガイヤーは、父親の生前から親密な関係にあったらしいのです。
そのガイヤーも7年後に亡くなってしまいますが、ワグナーは自身がガイヤーの子ではないかという疑念を持ち続けていたといいます。
母親が不貞に走っていたのであれば赦し難いと思う反面、芸術家ガイヤーが実父であれば喜ばしいという、複雑な気持に支配されていたようです。

このような出生にまつわる謎、秘密、疑念といったワグナーの心情が、ローエングリン伝説のテーマともいうべき《光と闇》《善と悪の闘争》《好奇心が招いた愛の喪失》などに重なるのではないかと、後年の研究者は唱えます。

極めて現実的に考えた場合、どこの誰とも名乗らず、素性を尋ねてはいけないと言う者が相手では、結婚など成立しないわけですが……。
そこは、まァ…、1000年以上も昔の伝説をベースに作った物語ということで、良しとしましょうか。

 

2010/6/14 月曜日

ローエングリン その1

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:39:48

《結婚行進曲》は結婚式の披露宴でよく奏でられます。
これは1850年にワイマール宮廷劇場で初演された歌劇“ローエングリン”の中で演奏された曲で、正式には《婚礼の合唱》というタイトルの楽曲です。

厳かで勇ましい感じのする行進曲で、日本ではたいへん親しまれていますが、西洋では結婚式に使われることはありません。
“ローエングリン”という歌劇は、古くからドイツやフランスに流布していたローエングリン伝説に基づいて作られたといいます。

物語の舞台は10世紀のアントワープ付近。
白鳥の舟に乗った聖杯守護の騎士が、ブラバント公国の皇女エルザのもとに現れます。
奸臣テルラムント伯爵の陰謀により、公国の世継ぎであった弟・ゴットフリート殺しの罪で訴えられていたエルザの冤罪を晴らした騎士は彼女と結婚することになるのですが、このとき、彼女に『自身の素性を問い質してはならない』と告げます。
夫になる者についてどこの誰とも尋ねるなとは、ずいぶん無茶な要求ですね。

まァ…、ストーリー展開上、そこに突っ込みを入れるのはよしておきましょう。
結局のところ、エルザは夫となった騎士の素性を尋ねてしまうわけです。
騎士は自分が聖杯の守護長パルツィファル王の息子ローエングリンであることを名のり、ブラバント公国を去っていきます。
このような位置づけで演奏される楽曲のせいか、《婚礼の合唱(結婚行進曲)》は別れにつながる曲として、結婚式には使用されないのです。

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