» 2008 » 3月

2008/3/10 月曜日

惚れ薬

Filed under: 未分類 — アートメモリー @ 0:52:12

父親の決めた結婚相手・ディミートリアスに好意を持てなかったハーミアは、恋人と手に手を取って森の中へ逃げていきます。
それを聞きつけたディミートリアスは『結婚相手に逃げられては一大事』とばかりに、ハーミアの後を追い、森へ。
さらには そんなディミートリアスに恋焦がれているヘレンも、彼を追って森へと向かいます。
ややこしい恋の展開を さらに ややこしくしてしまったのが、妖精パックです。
“惚れ薬”を使う相手を取り違え、恋の騒動は より わけのわからない様相を呈していくのでありました。

…と、これは有名なシェイクスピアの《真夏の夜の夢》の あらすじです。

作品中で妖精パックが使う“惚れ薬”というのが、三色スミレの汁でした。
眠っている間に三色スミレの花の汁を瞼の上に塗ると、目覚めたときに見た相手に恋心を抱くという言い伝えがあるそうで、シェイクスピアは それをモチーフにしたようです。
シェイクスピアは三色スミレが気にいっていたとみえ、《ハムレット》の中にも登場させています。

『天使が三回キスをしたときから、花の色が三色になった』
三色スミレには そのような可愛らしい謂われもあります。

野生の三色スミレと、ヴィオラ・ルテアという野生スミレ、さらにヴィオラ・アルタイカという種を交配させ、19世紀には現在と ほぼ同系の三色スミレが生まれたといいますから、シェイクスピアの時代には原種に近い野生の三色スミレだったと考えられています。
恋を成就させる効果については定かではありませんが、熱心に交配を重ねて多様な花を生み出そうとする園芸家の様子を見る限り、この可憐な花は、人を魅了するには充分な“惚れ薬”となったのかもしれません。

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