この宇宙曼陀羅の「地」「水」「火」「風」「空」は古代インドの宇宙観をあらわしています。古代インドでは悠久無限の大宇宙の中から極小の宇宙の分子・原子に至るまで、すべての万物はこの五大要素からできていると考えられていました。 |
人間もまた小宇宙の一つで、地=体、水=血液、火=体温、風=呼吸とし、これらがうまく融合し、溶け合った状態を「空」と呼んで五大要素としています。 |
墓地に五輪の塔がありますが、それは方形・円形・三角形・半円形・宝珠形が積み重ねられたもので、 梵語で 「キャ・カ・ラ・バ・ア」 の五文字が彫られています。 つまり五輪塔は宇宙のシンボルであり、 同時に仏 ・ 死者の体をシンボル化したものなのです。 人は死んで大宇宙に帰り、 仏と一体化するという意味がそこにはこめられています。 |
このように、昔からだれもが追い求めれてやまない精神の安らぎの世界を、心を清め幸せを呼ぶ力があるといわれている金、 銀、 プラチナ、 ラピスラズリ、水晶などの素材をつかい、平安時代から伝承された技を駆使して、「宇宙曼陀羅」として描き上げました。 |
この曼陀羅を玄関などに飾っていただいて、出かけるときはこれに守られているという気持ちで、真剣に人生を生き、強く、明るく、勇気をもって、清く、正しく生きていく決意を秘め、また帰宅の時は、今日そのことが実行できたかという反省の気持ちをもってながめ、 今、 生かされていることを感謝する。曼陀羅と向かい合うことは、自分自身と対話をするということです。 |
すべては自分自身の「自覚」の中にあり、 曼陀羅と対話する事によって 神仏のお導きがあると思います。 |
皆様の幸福を心よりお祈りいたします。 |
平安絵仏師安 |
安川 如風 |