古代中国の哲学から発生した十二の方位(天)を守る八体の仏・菩薩・神(十二支の守護本尊)が現世で救いの手をさしのべるのに対し、冥界で一定期間ごとに亡くなった者を裁き、浄土へと導く神仏が十三体仏。室町時代の民間信仰に端を発している。
四十七日:普賢菩薩
七十七日:薬師如来
三回忌:阿弥陀如来
三十三回忌:虚空蔵菩薩
五十七日:地蔵菩薩
百ヵ日:観世音菩薩
七回忌:阿シュク如来
六十七日:弥勒菩薩
一周忌:勢至菩薩
十三回忌:大日如来
不動明王 (ふどうみょうおう)
一切の魔障をを打ち砕くため、大日如来が化身した念怒相の仏とされる不動明王。右手には煩悩をくじく剣を、左手には悪を縛る羂索(けんさく:綱)を持つ。けがれを清めるという火焔を光背とした姿であらわされる。(酉年生まれの守護本尊)
釈迦如来 (しゃかにょらい)
一般に『お釈迦様』と呼ばれる釈迦如来の正式名称は、釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)という。釈迦(あるいはサキャ)は種族・国家の名で、牟尼は聖者、世尊は如来を意味する。釈迦牟尼世尊とは、『釈迦族出身の聖者で如来となった人』
文殊菩薩 (もんじゅぼさつ)
『文殊の智恵』という表現であらわされるように、智恵を第一につかさどる文殊菩薩。右手には経巻を、左手には智恵の鋭さを示す剣を持ち、人々に悟り深い日々を授ける。智恵の威徳を示す獅子に乗る。(卯年生まれの守護本尊)
普賢菩薩 (ふげんぼさつ)
釈迦如来の脇侍として文殊菩薩と共に並ぶ普賢菩薩。一名遍吉菩薩ともいわれ、仏の真理や修行の徳をつかさどる。白い象に乗り合掌した姿であらわされることが多い。長寿の御利益もあるとされる。(辰・巳年生まれの守護本尊)
地蔵菩薩 (じぞうぼさつ)
虚空蔵菩薩が天をあらわすのに対し、地蔵菩薩は地をあらわす。釈迦入滅後、弥勒菩薩が出現するまでの期間、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)で苦しむ衆生の救済にあたる。左手に宝珠、右手に錫杖(しやくじよう)を持った姿であらわされることが多い。幼くして命を落とし、賽の河原で苦しむ子供を救済すると信じられ、民間信仰の対象としても馴染み深い。
弥勒菩薩 (みろくぼさつ)
釈迦入滅から五十六億七千万年後の無仏の世に仏となって来臨し、衆生を救済する未来仏。現在は菩薩の姿で欲界に属する六種の天上界のうちの兜率天(とそつてん)にあり、説法をしているとされる。
薬師如来 (やくしにょらい)
東方浄瑠璃世界の教主。光明を放ち十二の大願を説いたといわれ、仏教の伝来以後、治病の仏として広く信仰される。薬壺を持った姿であらわされることが多い。日光・月光(がっこう)の両菩薩を脇侍とする。
観世音菩薩 (かんぜおんぼさつ)
『観世音菩薩』は、鳩摩羅什(くまらじゅう:インド人を父とする西域僧で、中国六朝時代の仏典漢訳者)による旧訳。三蔵法師の名で知られる玄奘(中国唐代初期の僧)の新訳では『観自在菩薩』 後世に出現した千手観音などの変化観音と区別するために、『聖観音(しょうかんのん)』とも呼ばれる。衆生の求めに応じて救いの手をさしのべる慈悲深い菩薩であり、多くの信仰を集めている。勢至菩薩と共に阿弥陀如来の脇侍として並ぶ。
勢至菩薩 (せいしぼさつ)
観世音菩薩と共に阿弥陀如来の脇侍として並ぶ勢至菩薩。智恵の光を以ってあまねく一切を照らし、人々を迷いや苦しみから救う。 冠に宝瓶を乗せた姿が特徴。(午年生まれの守護本尊)
阿弥陀如来 (あみだにょらい)
阿弥陀如来は、西方十万億土をへだてたところにある極楽浄土の主尊。無量光仏、無量寿仏とも呼ばれ、菩薩業で四十八の行業を成し如来として四十八の大願を持つ。一心に阿弥陀の名号を唱え誓願する衆生は、必ず救済され極楽での往生が約束されるという。(戌・亥年生まれの守護本尊)
阿シュク如来 (あしゅくにょらい)
西方極楽浄土の阿弥陀如来に対し、薬師如来と共に東方仏国土の仏として名高い。不動の菩提心を司り、厳しい修行で得た徳によって無病息災を授ける。 密教では金剛界五仏に数えられ、金剛界曼荼羅の東方に配置される。
大日如来 (だいにちにょらい)
全宇宙を照らす大日輪・大日如来。大光明を放ち、人々を悟りの境地へと導く。密教ではすべての如来や菩薩の根本仏、最高の仏とされる。知を象徴する金剛界、理を象徴する胎蔵界の両界曼荼羅の中でも、主尊として座を占める。(未・申年生まれの守護本尊)
虚空蔵菩薩 (こくうぞうぼさつ)
宇宙のように広大無辺。衆生の欲するものすべてを与える虚空蔵菩薩。無尽の宝庫のように無量の福徳や智恵を備え、この御仏の仏道を収めると記憶の力が増すといわれる。(丑・寅年生まれの守護本尊)